*山科絵のうさぎ(山本義雄 作) [アートなうさぎ]

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昨年の11月に天神さん(北野天満宮で毎月25日に催される縁日)で見つけた、干支うさぎのミニ額絵。
独特の筆致と色づかいで描かれたこの絵(写真上)、「山科絵(やましなえ)」というのだそうです。
天神さんで自らお店を出されている作家の山本義雄(やまもと・よしお)さんは、幻となっていた山科絵を復活させた、現代ではただひとりの山科絵師。
山本さんの画業が紹介された京都新聞2003年4月15日の記事によると「山科絵は江戸時代の前〜中期に生まれたとされ、半紙に神仏などの絵を描いて東海道を行き交う人に売られていた」という民俗絵画で、旅人たちがお土産、お守りとして気軽に買える廉価な縁起ものだったそうです。

「山科(やましな)」は京都市の東にある区で、東端は滋賀県の大津市との県境にも接しています。
古くから交通の要所として知られていましたが、特に江戸時代には街道町として栄えたそう。
東海道を歩いて京都から大津へ行く人たち、または大津から京都へ入ってくる人たちはみな、県境の峠にあたる追分(おいわけ)でひと休みしたのでしょう。往時は宿場町としてたくさんのお店が軒を連ね、にぎわ
っていたそうです。そんな追分の大津側で売られていたのが「大津絵」、山科側で売られていたのが「山科絵」だったそうですが、交通の発達とともに宿場は廃れ、これらの絵も廃れていったようです。

古い文献などで山科絵の存在を知った山本さんは「地元の歴史を見直したい」「昔のように山科の名物にしていきたい」と1999年に山科絵を復興されたそうです(京都新聞同記事より)。
往時の山科絵は残っていないので技法やモチーフはさだかではありませんが、山科絵と同じルーツを持ち、かろうじて現代にその名を残していた「大津絵」から技法を学び、「大津より都に近い分、華やかさを取り入れるようにした」というのが山本さんの現代における「山科絵」。
素朴でユーモラス、やや荒削りな印象の大津絵にくらべ、山本さんの山科絵はより洗練され、現代のイラスト的な可愛らしさがあるところが気に入っています。色紙や額絵のほかに、小さな木の駒に描かれた根付けストラップなどもあります(写真下)。うさぎのほかにも、ふくろうや招き猫などの縁起のいい動物、七福神、山科にゆかりのある小野小町などのモチーフがしあわせを招いてくれそう。
 
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【記事の参考にさせていただいた資料・サイト】
*京都新聞(2003年4月15日)
*京の道 探検ブック(6) 山科編 京都国道事務所(平成18年6月発行)
*大津絵美術館
*東海道大名物 走井餅本舗:民衆文化 大津絵

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