*昭和風味うさぎパン [美味うさぎ]

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探せば、いがいにあるもんですね。うさぎパン。
「あそこにあるかも」と目星をつけて行ってみると、やっぱりちゃんとありました。
昭和56年創業『焼きたてパンのゲベッケン』さん。クリームパンが自慢のお店ですが、ここのうさぎパンはチョコクリーム入り。おめめはチョコチップ、お鼻もチョコクリーム、「チョコ味」をシンプルに堪能できる、チョコ好きにはうれしいうさぎパンです。
なにより気に入ったのは、パン生地の味。「コッペパン」とよびたい素朴な見ためと味わい、ふんわりやわらかな口あたり。卵の香りとほのかな甘さが懐かしい、やさしい味です。クリームの入っていない耳の部分も、そんな自然な甘みがうれしく、子どものころおやつに食べた菓子パンを思い出しました。
もちろん昔のパンよりはずっと洗練されて品質もよくなっていると感じるのですが…… そう、これは昭和の菓子パンの進化形です。

ゲベッケンさんのお店は、伏見と東山にあります。
どちらも京都の中心街からはちょっと離れた商店街にあり、周囲の風景にも昭和の雰囲気が色濃く残っています。
伏見店のほうは、もう四半世紀も昔、わたしが専門学校を出て就職した小さな印刷工場の近くにありました。1階はベーカリー、2階はイートインスペース。よくここでパンを買ってお昼を食べたことを思い出します。まだ二十歳そこそこだった頃、埃っぽく薄暗い町工場から外へ出られる昼休みの1時間が本当にうれしかった。ビル街とアーケードに囲まれて育ったわたしには、陽射しのまぶしさがまったくちがってみえた伏見。雨の日も雪の日もあったはずなのに、今思い出すのはあの陽射しのまぶしかった春の毎日のことばかりなのも不思議です。やはりどんな迷いの中にいても辛かった時代でも、若いというだけで毎日が輝いていたということなのかもしれません。

gb2.jpgそして東山店は、3年前、父が入院した病院のそばにありました。
家族が交代でつきそいをしていたあの当時、よくこのお店でサンドイッチやケーキを仕入れて病室で食べました。暗い思い出のようですが、それまでほとんど交流がなかった家族が一致協力しあい、パンが好きだった父を囲んでみんなでパンを食べた、数少ない和やかな家族の風景があのころの中にあります。

こうしてあらためて文にしてみると、人生のなかで大きな意味のある時期と関わっている、不思議な縁のあるパン屋さんだなあと驚きます。
誰の人生にも少なからずそんなお店があるのかもしれませんが、今日はうさぎパン探しから思わぬほど遠くへ心の旅をしてしまいました。

【記事の参考にさせていただいたサイト】
 *焼きたてパンのゲベッケン

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